新卒でICU(集中治療室)配属を希望している看護学生に伝えたいこと

このページを読むとわかること

コロナウイルスの流行により、通常の領域実習の期間も短くなっています。ICUで実習は行うことはまずなく、ドラマやニュースで見る遠い世界のような気がしますね。
でも、やりがいのある仕事なので、興味を持っている看護学生の方も多いと思います。かく言う私も、同じことを思っていましたが、とにかく未知な世界でした。
昨年、一般病棟からICUへ異動してきて学んだ事、感じた事、そして新人教育担当をしてきて思うことはたくさんあります。
新卒でICU配属を希望している看護学生のみなさんに向けて、ポジティブな内容なからネガティブな内容まで包み隠さずお伝えします。

ICUと一般病棟の違いって何がある?特徴は?

ICUと一般病棟の看護師の業務内容に関しては、基本的に同じだと思ってもらっても構いません。
例えば、バイタルサインの測定、環境整備、各患者さんに必要なケア、家族へのケアなどです。
ただし、患者さんの状態が異なりますので、その点では違いがあると言えるでしょう。

ICUと一般病棟の患者さんの違いってなに?

  • 患者さんの重症度がとにかく高いこと
  • コミュニケーションをとることが難しいこと
  • 他職種との連携が必要不可欠

患者さんの重症度がとにかく高いこと

以下のイラストを見るとわかりますが、人工呼吸器が繋がってきたり、たくさんのシリンジポンプ、Aラインと呼ばれる動脈血で血圧を持続的に測るものなど、多くのデバイスが挿入されてICUに入室します。さらに重症度が高い患者さんになると、補助循環と呼ばれる心臓や肺のかわりをしてくれる器械が留置されています。これらの多くは、看護学生時代にしっかりと教わる内容ではないので、どのようなものが想像がつかないと思います。今よく耳にするECMO(エクモ)と呼ばれる器械もその一種です。
そのような多くの医療機器を使用している中で、患者さんに安全に適切な看護を提供するためのアセスメント能力は、かなり必要とされる部分です。

出典:看護roo!

コミュニケーションをとることが難しいこと

口から気道を確保するための管が挿入されていることから、患者さんとのコミュニケーションを図り辛かったり、そもそも眠るお薬を使って眠っていることもあります。
そのような患者さんから、声なき声を察知し、必要な看護を提供していく能力が求められます。
ICU入室中あるいは退室後に生じるさまざまな障害をPICS(post intensive care syndrome:集中治療後症候群)と言いますが、PICS対策という観点からも重要です。

他職種との連携が必要不可欠

どの診療科・部門でも医師やリハビリスタッフなどの職種とのコミュニケーションは必要になります。
ICUでは体位交換1つとっても、循環動態が悪い患者さんの場合には臨床工学技士の方に入ってもらいながら体位交換をすることがあります。
一般病棟に比べて、他職種との関わりが密になるのも特徴の1つです。

新卒からICU配属になるメリットは?

  • 向上心が高いスタッフが多く、そのような人達の周りで働くことができる
  • たくさんのデバイス類が挿入されていても動じず行動ができる
  • アセスメント能力の向上
  • 急変時の対応に強くなる

向上心が高いスタッフが多く、そのような人達の周りで働くことができる

一般病棟にも認定看護師など、向上心が高いスタッフが多くいますが、ICU内は特に向上心が高いスタッフが多い印象です。
ICUという特性上、超急性期~急性期の内容に特化した専門看護師、認定看護師、特定看護師が在住していることが多いです。
学びたい意欲が強ければ勉強を教えてくれるスタッフも多いですし、良い環境なのではないかと思います。

たくさんのデバイス類が挿入されていても動じず行動ができる

デバイスとは、いわゆる体内留置物を指します。一般病棟で言えば、末梢点滴や膀胱留置カテーテル、ドレーンなど。
ICUでは、上記に加えて気管チューブ、補助循環など生命に直結するデバイスが留置されています。
はじめてICUに配属されたときは『うわぁ・・・なんじゃこれは・・・』と思ってしまうくらいです。最初に見ると驚くかもしれません。
デバイス類のコード整理、ベッドサイドの環境整備など綺麗な環境を整える力なども養えます。
何度もそのような患者さんを担当させていただくことで、そのような環境にも慣れることができます。

アセスメント能力の向上

一般病棟に比べ、さまざまな医療機器を使用していることから目に見えるデータがたくさんあります。
例えば、血液ガス分析のデータ・スワンガンツカテーテルというカテーテルから得られるデータ、人工呼吸器に表示されているデータなど、
一般病棟に比べはるかに情報の数が多いです。それらの情報にフィジカルアセスメントを加えて、今の患者さんの病態をより根拠づけて推測し、看護介入を行っていきます。
もちろん、一般病棟でもフィジカルアセスメントを通したアセスメント能力が必須です。

急変時の対応に強くなる

一般病棟で急変した患者さんがICUに入室されることが多いです。病院の最後の砦ですから、さまざまな処置が病棟内で行われます。
緊急時であれば、気管内挿管はもちろん、補助循環であるPCPS(V-A ECMO)の留置など…
一般病棟では経験することがないような対応が求められますので、急変時の対応には強くなることができると思います。

新卒からICU配属によるデメリットは?

  • 覚えることが多すぎて、一般病棟よりも心身の負担が大きい
  • コミュニケーションが難しい患者さんが多く、接遇面で一般病棟の看護師より弱くなりやすい
  •  緊張感が高くストレスが強い

覚えることが多すぎて、一般病棟よりも心身の負担が大きい

基本的に一般病棟は、単科あるいは混合科ですので、多くても3つ程度の診療科の患者さんを担当することが多いでしょう。
心臓血管外科、循環器の患者さんが多いですが、ICUは基本全科対応なので、とにかく勉強の範囲が広いことが特徴です。
その分、身になる知識や経験が多くできますが、自己研鑽ができないと業務をこなすだけになってしまいます。
特に新卒、初めての一人暮らしで身の回りのことも自分でやらないといけないのに、帰って寝る間も惜しんで勉強…はなかなか大変です。

コミュニケーションが難しい患者さんが多く、接遇面で一般病棟の看護師より弱くなりやすい

私は一般病棟で勤務した後、ICUに異動してきていますが、接遇面では気になるところが多いです。
意識がしっかりとしている患者さんが多い一般病棟時代では、新人のときに接遇の面で指摘を受けたことがありますし、より一層気を付けていました。
大部屋の患者さんであれば、1人でなく最大4人の患者さんへの配慮も必要になります。
とはいえ、個人の心がけ次第でいくらでも気を付けることができる範疇だと思います。

緊張感が高くストレスが強い

”覚えることが多すぎて、一般病棟よりも心身の負担が大きい”という点にも通じていますが、とにかく重症度の高い患者さんが多いです。
自分が行う看護1つで、患者さんの状態に影響を与えることがあります。いつ状態が悪くなってもおかくしない状態の患者さんがたくさんいます。
そのような中で働くことは、やりがいもありますがストレスが強いです。何かれば、受け持った日に自分の行動を内省することもあります。
緊張感が高い現場であるため、医者から怒鳴られることもしばしばありましたし、そういった点でも大変だと思います。

新卒でICU配属になることに賛成か反対か?ー個人的には条件付きなら賛成ー

私の一意見としては、一般病棟で多くのことを学んでからICUへ異動することが良いのではないかと思います。
なぜなら、新人からICU配属になることのデメリットにも述べたように、負担が大きいからです。
一般病棟から異動してきた私でも、大きな負担に感じました。

一般病棟を経験してから、異動をおすすめする理由は以下のとおりです。

  • 診療科が単科あるいは混合科で、ICUに比べて勉強の範囲も限られており、基本的な看護業務を覚えやすい
  • 受け持つ患者さんの数が多いので、多重業務に強くなる
  • 接遇もしっかり学ぶことができる

例えばですが、看護学校のカリキュラムに人工呼吸器の管理について学ぶ機会ってないですよね。
そもそも看護学生時代に習ってもいない医療機器を目の前に、できないこと、わからないことが多く、自己効力感の低下などに繋がりやすいです。
患者さんの病態も複雑で、教科書通りな患者さんも少なく、頭の中は混乱しがち。
この記事の執筆時は9月ですが、現在の新人さんは一人立ちに向けて日々頑張っていますが、大変だと言います。

一般病棟で基本的な看護業務を覚えた上で、ICUに異動しても遅くはないのでは?と思います。
一般病棟で気づいたベースがあれば、あとは知らない知識を補充したり、病棟のルールを覚えるなど負担軽減に繋がります。

それでも、個人的に条件付きなら賛成とした理由は・・・?

このように新卒からICU配属になることに関して、否定的な意見を述べてきました。
なのに、なぜ条件つきなら賛成とした理由をご説明します。

結局は、自分のやりたい看護が何なのか?という点です。
”ICUで重症な患者さんの看護ができるバリバリの看護師になりたい”と思っている人が、全然違う部署に配属されれば、それはモチベーションの低下になります。

ICU配属になる大変さを理解した上で、”それでもICUに行きたいんだ!”と強く希望するならば、その意思は尊重されるべきです。

最後に就職活動を行う看護学生のみなさんに向けて

地元で就職をする人、県外での就職を考えている人、さまざまだと思います。
特に、世間ではコロナウイルスの流行に伴い、実習期間の短縮が行われていたり、病院見学会が行われなかったりします。
そのような中で、自分にあった就職先を見つけることは、以前に比べても難しい状態だと思います。

世の中には、以下のような就職支援サイトもあります。
いずれのサイトも無料で登録できるので、お話しだけでも聞いてみると就職先のイメージが見えてくると思います。
もし可能であれば、病院見学に行き、自分の目で見てみることをお勧めします。

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